参拝

ぴっちりと閉じた鳥居からは、清らかな湧き水が流れてくる。粘度の高いそれは、朝日を浴びた露のように美しく煌めいた。紅い穂先は、私を歓迎しているのか、上機嫌にゆらめいている。この場所に私を拒む者は居ないのだ。

「あああっ!」

何かが砕けた音に震える参道が、揺動して私を導く。この先にある大切なお袋が終着点、参道のお導きはそう伝える。降りかかるザクロのシャワーは温かい。きっと、私の還りを歓迎しているのだろう。

本殿の入口に頭がこつんとぶつかった。これから還る場所、安らかな場所。そんな場所の入口が狭く感じるのは、私が成長してしまったから?けれど、そんなことは気にしない。これからはずっと、優しさに包まれるんだから。

「ンギッピゥグッ

どこかからお母さんの声が聞こえる。聞き慣れない声だけれど、故郷の子守歌かな。この優しい場所で、おやすみなさい。