はざまに見る

現実と理想の間には、様々な障壁が存在する。現実では複雑性に満ちた性質も、理想の中ではピュアにその理想が昇華される。例えば、漫画の中の少女達と、現実の少女達は違うように。

しかし、理想は現実から創成される。理想は現実を照射した物であり、現実は理想を照射した物であり人間の思考という物は残酷で、現実に絡め取られてしまうのだ。ピュアに見える理想の世界に神々しさを感じるのは、そこに現実を感じないからだろう。

生きる事その物が苦しみだと言ったのは、何処の誰だったか。そう、現実は、不可解で、そして、残酷で、そして、冷徹だ。それなのに、まるで、ブラック企業に拘り続ける、企業戦士のように、我々は、この現実にしがみ付き続けている。

現実の中に、私達の思い描く理想を垣間見るその瞬間に多幸感を感じるのは確かだ。しかし、その多幸感を獲得するためだけに、しがみ付くというその行為に何の意味があるのだろう。その疑問に答えてくれる人は、きっと、理想の向こう側に居る。