2021年の日記

「店外へのカゴ、台車、カートの貸出ですが、どんなに近くでも常連の方も禁止させて頂きます。ご理解ご協力の程お願い致します。店長」と書かれた張り紙

「持ち出してはいけないもの」と聞いて思い浮かぶ物に、スーパーの買い物カゴがある。

買い物カゴを使うことで、より多くの物を一度に買うことができる。とても便利なので、スーパーに行くとまず買い物カゴを手に取る、という人も多いのではないだろうか。

このように大人気の買い物カゴだが、お手頃なスーパーのカゴ置き場を見てみると、「店外への持ち出しはご遠慮ください」という張り紙が貼られていることがある。

このような張り紙は、伝えたい内容が似ていることもあり、だいたい代わり映えがしない。しかし、地域によっては独自の進化を遂げることもあるようだ。

ふらりと入ったスーパーに、写真のような張り紙があった。

パソコンではなく直筆で書かれており、無機質なフォントとは違った迫力を感じさせる。

その迫力は、デジタルが当たり前なところにアナログが紛れ込んだ物珍しさによるものなのだろうか。はたまた、店長の強いお願いの気持ちが文字からにじみ出ているのだろうか。もしかしたら、その両方なのかもしれない。

さらに、このような張り紙にありがちな「持ち出し」ではなく、「貸出」という表現を使っている。スーパー側からはカゴの「持ち出し」だが、カゴを持ち出したい客からするとカゴは「貸出」されるものなのだ。

「どんなに近くでも」「常連の方も」といった普段見ない言葉も、「すぐそこだから」などで押し通そうとする客への対策なのだろう。

この張り紙の内容は、「カゴの貸出はしない」と短くまとめることができる。しかし、このような単純なことを伝えるために、ここまで多弁にならなくてはならないのだ。

事務的な場面では、簡潔な文章が伝わりやすいとされている。しかし、簡潔な文章で伝えられることは、案外少ないのかもしれない。

緑茶は最強食品「飲み物」一位

近くの緑茶販売店で、「緑茶が最強」という張り紙を見かけた。

「最強」「最強食品」「名医推奨」など、強そうな単語が至る所に並んでいるだけの、どこにでもある普通の販促ポスターだ。

緑茶のようなただの食品の効能を宣伝する時は、薬事法の顔色を伺わなくてはならないと聞く。薬事法のおかげで、「がんに効く」や「疲労回復効果がある」などと簡単には言えないらしい。

必要は発明の母とはよく言ったもので、宣伝する側は、薬事法を回避するために多様な表現を生みだしてきた。「体内効率」や「スッキリ解消」といった趣深い言葉は、薬事法がなければこの世に存在しなかっただろう。

健康食品とアフィリエイトは切っても切れない関係だ。なので、「薬事法 言い換え」で検索しようとすると、「薬事法 疲労回復 言い換え」や「免疫力 薬事法 言い換え」といった、数多くのサジェストが出てくる。

検索結果の中には、代替表現集を売っているページまであったりする。薬事法回避のノウハウは、クリエイティビティに富んだ世界で生み出されているように感じられる。

ここで緑茶の張り紙に戻ってみると、複雑な「言い換え」を使っていない。「最強」という言葉の強さだけで勝負している。

にもかかわらず、この張り紙を見ると「緑茶はなんだか健康によさそう」と思えてしまう。つまり、きちんと販促できている。

複雑でつぶしのきかないノウハウではなく、骨太なアイデアで勝負する心意気、これこそが、生きていく上で大切なものの一つなのかもしれない。

「CD取扱い終了のおしらせ」

「サブスク全盛時代に、ビジネスモデル自体が時代遅れ」や「オタクしか買わない」など、CDを時代遅れのものだという記事は、軽く検索しただけでもたくさん出てくる。

これらの記事は、ただ数が多いだけでなく、質もバラエティーに富んでいた。

音楽シーンの変化を機敏に感じ取った記事、自社サービスを推すだけの記事、「世界はストリーミングが主流、日本はガラパゴス」といった扇動的な記事など、その豊富さには驚かされる。

これらの記事で語られるような、CDや音楽業界の仕組みがどうといった話も、音楽を聞く習慣が無い自分にとっては、「熱量が高い話題」のひとつでしかなかった。

しかし、写真のような「売場変更の都合で取扱いをやめる」告知といった、CDが消えゆく姿を見せられると、急に自分のことように感じてしまう。

告知ポスターを見るには1秒もかからない。本当に些細なことだ。

もしかすると、「自分と関係がある」と思っていることのほとんどは、些細なきっかけでそう感じているだけで、実際にはそこまで関係が無いことなのかもしれない。

もし「関係ないことでも当事者意識を感じさせるテクニック」というものがあって、それを応用した何かが街中に溢れているのだとしたら、ただ散歩するだけで色々なものの当事者になれてしまう。

そんな世界がすでに来ているのだとしたら、近未来に生きているという感じがして、なんだかワクワクする。

「セーラームーン」と「鬼滅」の文字が陳列棚の上に貼られている

あるエキナカコンビニの陳列棚に、流行りものの名前が貼られていた。

近づいてみると、「マグ発売」や「プレート」といった文言が並んでいる。どうやらグッズ販売の予告広告のようだ。

広告に使える場所がない中で気づいて貰えるにはどうしたら良いか。この無理難題を、流行り物の名前の力で解決しようとしたのだろう。

つまり、流行り物を表す文字の力に頼ったのだ。

文字には不思議な力が宿ると聞いたことがある。はるか昔の密教では、梵字に様々なことを見出し、真理を解き解そうとしたらしい。

もしかするとこのコンビニも、「流行り物の文字」を通じて何か大切なものを解き明かそうとしていたのかもしれない。

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